2008/05/10

防御化された+防御化する=身体





「人間の身体は防衛する身体となる。それは、外部からの攻撃に抗する力をもともと備えているだけでなく、同じように訓育された複数の身体(=社会)が取り結ぶ新しい秩序へと統合されることになる。身体の防衛的な特徴が浮き彫りにされ、生存にとって、いや、生命そのものにとって本質的なものであるものとして現れる。防衛することは生きることそのものなのだ。」


免疫学という個人の身体に備わっている防衛機構の理解と、古典的な検疫に基づく公衆衛生の社会や国家を単位にした防衛の構想とを対比させながら議論を始め、感染症に対する防衛という狭い免疫の理解から、非自己を認識して生物学的な「自己」を定義する機能として、生命の根本にかかわる機能としての免疫の理解へと変化していくありさまが描かれる。このような「自己性」を浮き彫りにする免疫学と、人々をマスとして扱う古典的な「公衆」衛生が齟齬をきたすようになる知的な構造を明らかにしている。
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