2008/10/05

1929年気分でいるんじゃない、もう41年だ。




 まず、バフェットが「1941年」と言ったという重要性。今の金融危機を「1929年」「1931年」だとなぞらえる論調は、ある。ジョージ・ソロスなどの投資家はやっていますし、グリーンスパンなども「大恐慌以来最悪の危機」というわけです。ところが、バフェットは一気に吹っ飛んで「1941年」だと言った。歴史に詳しい人ならば、ローズヴェルト大統領のニュー・ディール政策が本格的に効果を見せるようになったのは、真珠湾後の戦争経済に入ってからのこと、というのを知っているでしょう。戦争経済(ウォー・エコノミー)によって、急激に有効需要を作り出したからであります。 1929年気分でいるんじゃない、もう41年だ。すごいズラしかたですが、インパクトはある。 「すでに来ている大恐慌に身構えよ、アメリカ人」とバフェットは言いたいんでしょう。バフェットが原子力発電の会社を買収したり、鉄道会社を買収したりしているのは、上からの統制経済に備えていると見るしかない。次の大統領でも、ポールソン財務長官は留任すべきだとまで、バフェットは「'Hank, do me a favor, stick around another year.'"(ハンク、頼むからもう一年やってくれ)」と自分が大統領だったら頼むだろうと言っています。 しかし、危ない金融商品(デリヴァティブ)を「金融の大量破壊兵器」だといっていたのもこの人。「戦時」なので対応が違うことを理解せよ、という含みもある。それだけに説得力を持たせたかったんでしょう。 しかし、真珠湾というのは海外ではいろいろな含みを持つ言葉です。靖国神社の展示でも、「アメリカが真珠湾を見逃して、戦争に参加したので、アメリカの景気は回復した」と書いただけで、親米筋から大きな反発を受けるんです。 しかも、今回の敵はだれなのか?金融ユダヤ人か?中国か?それともアメリカ人自身か? アメリカ人はレトリックが巧いですけど、そのせいでアメリカは「テロに対する戦い」(War on terror)なんていう、ファントムと戦っている。
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