新説:神経の情報伝達は、電気ではなく「波」波って漠然としている。
神経が細胞から細胞に電流を伝えることで機能する、というのは多くの人が知っている常識だ。しかし、神経が痛みの信号を伝達するのを麻酔が阻止する仕組みはわかっていない、と聞いて驚く人もいるだろう。
こうしたことを理由に、2人の科学者は、そもそも神経の仕組み自体が解明されていないと考えている。
2人はある新説を発表し、物議をかもしている。それによると、電流は神経が機能する際に副次的に発生しているだけにすぎないという。ちょうどパイプ状の物体の中で音波が反響するように、神経は強い圧力の波を伝えているというのだ。
Alan HodgkinとAndrew Huxleyの両氏は、神経が電気によって刺激を伝える仕組みを説明し、1963年にノーベル生理学・医学賞を贈られた。両氏の理論は現在もホジキン・ハクスリー・モデルとして広く支持されている。
しかしJackson氏とHeimburg氏は、麻酔の仕組みが説明できないことと、ホジキン・ハクスリー・モデルの不自然な部分を考え合わせた上で、神経の情報伝達は電気によるものではないと主張する。
たとえば、ホジキン・ハクスリー・モデルでは、科学者のHans MeyerとCharles Overtonの両氏が100年以上前に行なった観察の結果を説明できない。この観察では、麻酔の強さは、化学構造を調べなくても、オリーブオイルに入れたときの溶解度を見れば予測できることが示された。よく溶ける麻酔ほど効き目が強かった。
オリーブオイルが神経細胞の脂質分子に似ていることから、JacksonとHeimburgの両氏は、麻酔は細胞内にある痛みの受容体と結合することで電気パルスの発生を阻止するという通説に疑問を持ちはじめた。両氏によると、これは不可能に近いという。麻酔の分子は形状も大きさもばらばらで、すべての受容体にぴったりはまるとは考えにくいためだ。
「コインを1000回投げて、すべて表が出るようなものだ」とJackson氏は話す。
Jackson氏らは『Biophysical Journal』誌に論文を発表し、神経と麻酔の仕組みを次のように説明している。神経は脂質でできており、体温では液状になっている。そこで、未解明の何らかの仕組みが、半固体の高圧の波を起こし、これが細胞から細胞へと移動して、情報を伝達する。
Jackson氏らの説によると、麻酔は脂質の温度を下げて固体にするため、波が発生しにくくなり、痛みの信号が伝わらないという。
麻酔は細胞内にある痛みの受容体と結合することで電気パルスの発生を阻止するとされていた。
しかし、麻酔の分子は形状も大きさもばらばらで、すべての受容体にぴったりはまるとは考えにくい。
「コインを1000回投げて、すべて表が出るようなものだ」とJackson氏は話す。
そしてオリーブオイル
麻酔の強さは、化学構造を調べなくても、オリーブオイルに入れたときの溶解度を見れば予測できることが示された。よく溶ける麻酔ほど効き目が強かった。
ただし、Jackson氏とHeimburg氏が指摘している矛盾は、麻酔の謎だけではない。
もう1つの例は、神経で電気が流れるときに、熱が放出されて再び吸収される事実だ。Jackson氏によると、抵抗器を通る電流には見られない振る舞いだという。
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