2007/09/06

国境の医学化




アメリカとメキシコの国境は、医学的な検査によって現実化されたのである。言葉を換えると、医学は国家を定義する実践の中で用いられ、同時に先進国と後進国の差を明示するのにも貢献したのである。
 国境における医学的な実践は、広義の細菌学に基づいていたが、そこには感染よりも遺伝を重視する優生学も関与していた。むしろ両者は病原体を隠すと同時に人種の特徴を有する鍵を握ると考えられた「血」の概念やメタファーを共有していた。医学は「人種」の違いを現実の施策の上で表現するのにも貢献していたのである。
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