2007/10/14

『二〇〇二年のスロウ・ボート』は、古川日出男による『中国行きのスロウ・ボート』の“リミックス”作品として2003年に生まれた。つまり、サンプリングとかカバーとか――音楽界で、そう呼ばれるものの小説版として。




「僕は東京の街を見ながら、中国のことを思う。僕はそのようにして沢山の中国人に会った。そして僕は数多くの中国に関する本を読んだ。「史記」から「中国の赤い星」まで。僕は中国についてもっと多くのことを知りたかったのだ。それでもその中国は、僕のための中国でしかない。それは僕にしか読み取れない中国である。僕にしかメッセージを送らない中国である。地球儀の上の黄色く塗られた中国とは違う、もうひとつの中国である。それはひとつの仮説であり、ひとつの暫定である。ある意味ではそれは中国という言葉によって切り取られた僕自身である。僕は中国を放浪する。でも僕は飛行機に乗る必要はない。(中略)僕は何処にも行けるし、何処にも行けない」(村上春樹『中国行きのスロウ・ボート』)
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