2007/10/09

Mattson氏は、選択肢の過多とマルチコア・プログラミング言語との類似点を指摘=心理学って眉唾=データの扱いがちょっとW




Mattson氏は、見事にこの主張を論証している。
この論文は主に「選択肢の過多」(choice overload)という現象と、グルメ向けの高級ジャムや、確定拠出年金(401k)などとの関係を論じている。
これをもとにMattson氏は、選択肢の過多とマルチコア・プログラミング言語との類似点を指摘して、さらに踏み込んだ主張を展開している。
論文の執筆者たちは、ある実験で、高級ジャムを24瓶陳列したディスプレーと、6瓶しかないディスプレーを設けた。それぞれの陳列には、試食を勧める表示と、ジャムを購入する場合に利用できる割引券を用意した。
続いて、食品雑貨店にこの陳列を設置し、前を通り過ぎた客の人数と、足を止めておいしいジャムを試食した客の人数、割引券を使ってジャムを購入した客の人数を調べた。
実験の結果は驚くべきものだったと、Mattson氏は評している。
ジャムが24瓶並んだ陳列は、最終的に60%近くの客の目を引いた。それらの客は全員、前を通り過ぎるときにジャムを少し試食した。だが、奇妙なことに、割引券を使って実際にジャムを購入した客は3%にとどまった。
一方、6瓶しかない陳列には、最終的に前を通り過ぎた客のうち40%しか目を留めなかったが、30%がジャムを購入していた。
Mattson氏、および論文を書いた2人の教授は、この実験の意味することは明らかだと主張している。つまり、選択肢の過多という現象は実際に存在するということだ。
「大がかりな陳列のほうが人々の目を引いたが、選択肢の数に人々は圧倒され、ジャムを購入せずに通り過ぎた。つまり、消費者を真の意味で惹きつけるのが目的なら、『過ぎたるは及ばざるがごとし』ということだ。選択肢が多すぎると購入意欲がそがれてしまう」とMattson氏は書いている。
このような事例が、Intel社やマルチコア・プロセッサーといったいどんな関係があるのか、読者は疑問に思うかもしれない。
Mattson氏は、Intel社のようなハードウェア企業は、プラットフォームを販売するにあたってソフトウェアに依存する傾向があると、鋭い指摘をしている。
問題なのは、現在はマルチコア・プロセッサーのプログラミング環境があまりに数多く用意されているため、開発者は逆に新しいソフトウェアを開発する気になれず、敬遠している点だ。
Mattson氏の投稿「パラレル・プログラミング環境:過ぎたるは及ばざるがごとし」から引用する。
ソフトウェアメーカーは、われわれが用意した「陳列」に歩み寄る。われわれは、マルチコアの高性能ハードウェアを披露し、対応するためにはソフトウェアをコンバートする必要が生じると告げる。
それから、彼らが取り組めるパラレル・プログラミング環境がこんなにあると示す。『MPI』『OpenMP』『Ct』『HPF』『TBB』『Erlang』『Shmemm』『Portals』『ZPL』『BSP』『CHARM++』『Cilk』『Co-array Fortran』『PVM』『Pthreads』『windows threads』『Tstreams』『GA』『Java』『UPC』『Titanium』『Parlog』『NESL』『Split-C』……という具合に、リストは延々と続くわけだ。
この問題の解決は簡単だ、とMattson氏は言う。対応言語を減らし、それぞれをさらに練り上げればいいのだ。
「新しい言語の開発に費やす時間を減らし、今ある言語を使いやすくするために費やす時間を増やす必要がある。だから私は、すばらしい新言語を開発した、といった話が耳に入っても、そのほとんどを無視してしまう」とMattson氏は締めくくっている。
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