2007/08/05
1870年代から90年代にかけてのコッホやパスツールに代表される「細菌説」は、かつては医学史の中での一つの革命だと考えられていた。近年は、その断絶と同時に連続も強調するリヴィジョンが進んでいる。Nancy Tomes の、Gospel of Germs が、19世紀中葉以来の宗教的なパラダイムの中
1870年代から90年代にかけてのコッホやパスツールに代表される「細菌説」は、かつては医学史の中での一つの革命だと考えられていた。近年は、その断絶と同時に連続も強調するリヴィジョンが進んでいる。Nancy Tomes の、Gospel of Germs が、19世紀中葉以来の宗教的なパラダイムの中での衛生運動と新しい科学である細菌学を志向した公衆衛生との連続を示した。ほぼ同時に出版された本書は、より狭義の医学における細菌説以前と以後との連続を強調している。具体的な論点はかなり込み入っているが、細菌学は、それ以前の「ミアズマ説」と対立したというよりも、それに付け加えられて補強したと考えるべきだというのが大きな論点である。特に「土壌と種子」の比喩と呼ばれる、細菌はその生育に好意的な体内環境に侵入して初めて発病するという考えがイギリスの医学の色々な局面で大きな力を持っていたという。
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