2007/08/02
クロンボと貧乏人は安いゾロ薬で充分ニダって朝鮮人でもブリちゃんでもない米国製薬が熱心な件について
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Two years ago, on June 23, 2005, the U.S. Food and Drug Administration approved the first “ethnic” drug. Called BiDil (pronounced “bye-dill”), it was intended to treat congestive heart failure—the progressive weakening of the heart muscle to the point where it can no longer pump blood efficiently—in African-Americans only. The approval was widely declared to be a significant step toward a new era of personalized medicine, an era in which pharmaceuticals would be specifically designed to work with an individual’s particular genetic makeup. Known as pharmacogenomics, this approach to drug development promises to reduce the cost and increase the safety and efficacy of new therapies. BiDil was also hailed as a means to improve the health of African-Americans, a community woefully underserved by the U.S. medical establishment. Organizations such as the Association of Black Cardiologists and the Congressional Black Caucus strongly supported the drug’s approval.
A close inspection of BiDil’s history, however, shows that the drug is ethnic in name only. First, BiDil is not a new medicine—it is merely a combination into a single pill of two generic drugs, hydralazine and isosorbide dinitrate, both of which have been used for more than a decade to treat heart failure in people of all races. Second, BiDil is not a pharmacogenomic drug. Although studies have shown that the hydralazine/isosorbide dinitrate (H/I) combination can delay hospitalization and death for patients suffering from heart failure, the underlying mechanism for the drug’s efficacy is not fully understood and has not been directly connected to any specific genes. Third, and most important, no firm evidence exists that BiDil actually works better or differently in African-Americans than in anyone else. The FDA’s approval of BiDil was based primarily on a clinical trial that enrolled only self-identified African-Americans and did not compare their health outcomes with those of other ethnic or racial groups.
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So how did BiDil become tagged as an ethnic drug and the harbinger of a new age of medicine? The story of the drug’s development is a tangled tale of inconclusive studies, regulatory hurdles and commercial motives. BiDil has had a relatively small impact on the marketplace—over the past two years, only a few million dollars’ worth of prescriptions have been sold—but the drug has demonstrated the perils of using racial categories to win approval for new pharmaceuticals. Although African-Americans are dying from heart disease and other illnesses at younger ages than whites, most researchers believe the premature deaths result from a complex array of social and economic forces [see “Sick of Poverty,” by Robert Sapolsky; Scientific American, December 2005]. Some medical professionals and policy experts, however, have pointed to BiDil as proof that genetic differences can explain the health disparity. Worse, some pharmaceutical companies are now using this unfounded argument to pursue other treatments targeted at various ethnic groups, a trend that may segregate medicine and fatten the profits of drugmakers without addressing the underlying causes that are killing so many African-Americans before their time.
2007年08月02日 黒人専用心不全治療薬Bidilの謎 [医学・科学関連]
Scientific American8月号に、「薬瓶の中の人種"Race in a Bottle"」と題された記事が掲載された。著者は遺伝子治療に伴う法的問題の専門家、ハムライン大学法学部準教授、ジョナサン・カーン氏である。<Link>
その記事は、2年前にアメリカ食品医薬品局(FDA)が認可した、世界初の適応人種に制限がある心不全治療薬、BiDil(バイディル)を主題にしていた。BiDilが認可されたとき、日本ではもっぱら、テイラーメイド治療の展開というような文脈で紹介され、それに伴う論争までは伝えられなかったようだ。
BiDilについて簡単に説明すると、それは1980年代頃に、それ以前の利尿剤+ジギタリスという古典的心不全治療より有効だとされ、使用が推奨された二種類の血管拡張剤(硝酸ソルバイドとヒドララジン)を合剤にしたものである。硝酸ソルバイドは冠不全が合併する場合、他の治療薬と併用されるが、ヒドララジンが心不全処方されている人を今見ることは滅多にない。
80年代、その組み合わせは確かにそれまでの治療よりは効果的だったのだが、新らたに使われる様になったACE阻害剤やβ遮断剤と比べれば、その有効性は明らかに劣っていたのである。1996年、硝酸ソルバイドとヒドララジン治療にこだわった循環器専門医、ジェイ・コーンは、配合比の特許をとり、合剤を認可申請したが、FDAはそれを却下した。
コーン医師はそれにもめげず、自分たちの行った臨床試験結果の再検討を行った。そして、対象患者が黒人の場合、極めて治療効果が高かったことを再発見するのである。99年、コーン医師は人種差によって病態と薬効が違う可能性を示唆する論文を書き、同時に先の合剤を「黒人専用薬剤」として特許を再取得する。
彼はNitroMed社というベンチャー製薬会社に特許権を委託し、そこの援助で再度臨床試験を計画する。この臨床試験は黒人の、それも「自分は黒人だ」と認めた心不全患者1050名だけを対象にしており、他の薬剤との比較ではなく、対照はプラセボだけ、他人種との比較もない。
その結果は驚くべきものだった。BiDilを投与された心不全黒人患者は、プラセボ服用群と比べて43%もの低死亡率をしめした。あまりに効果がはっきりしていたので、調査期間が予定よりも短縮された程である。NitroMed社は株式上場によって、実に6600万ドルを稼ぎあげた。
繰り返すようだが、硝酸ソルバイドとヒドララジンの組み合わせは以前からあるもので、別にBiDilでなくても全く同じ内容の治療は可能である。すでにジェネリック化されている薬を二種類組み合わせれば、薬代は44%安価になる。コーン医師がはじめに取った特許は2007年には切れてしまうが、「黒人専用」とした特許は2020年まで有効なので、全く同じ内容でも、高値を維持出来るのだ。
ジョナサン・カーン氏の記事は、NitroMed社が意図的に正確でない情報を宣伝していると批判する。以前から、米国の黒人には心不全が多く、それによる死亡も多いというものである。確かにそれを指摘する論文がいくつか存在するのは事実なのだが、年齢区分の設定に問題があったりして、再検討をすればほとんど差があるとは言えないというのがその主張。
また、人種というものの生物学的実体は明らかでない、というのも批判点の一つである。人種は明確な遺伝子タイプの違いとして表せるものではないので、たまたま黒人に対する効能がはっきりしていたからと言って、「黒人だけに効く薬」とするのはあまりに粗雑な結論だとする。ACE阻害剤やβ遮断剤との比較もなく、いささかオールドファッションな処方が固定されるのも問題があると。
この主張には多くの医学関係者も同調している。製薬会社はコーン医師の調査結果をキャピタルゲインにつなげることだけを自己目的化するのではなく、その利益をつかって、遺伝子面だけでなく、社会心理的背景や他の可能性についての、広汎な研究を振興させるべきだとする。
当然の主張だが、当事者たちの、差し当たって効くものは効くのだから、いま判っている指標を使うのはやむを得ない、という反論を覆すまでには至らないようである。人種の生物学的根拠を明らかにする、なんて壮大な目標を一介の製薬会社に押しつけられてもね。
そんな事情から、日本人にはまず関係することはないBidilであるが、これを「個別治療」という新しい薬物治療の嚆矢だと持ち上げた人も多かった、というのが我々にとっての教訓になりますか。
同レベルの問題とは言えないかも知れないが、私は以前、平家の落人伝説がある地区に集中して、向精神薬の特殊な副作用が頻発するという妙な体験をしたことがある。昔はまっていた矢切止夫のトンデモ説を援用して、日本原住民の薬物反応特異性という論文を書こうかと思ったが、せいぜい数例を示すだけではとても説得力はないと思い直してやめた。あれを書いていれば、イグノーベル賞も夢ではなかったかも。ま、金持ちになるのは無理ですが。
投稿者 webmas
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