2007/11/08
研究者らが本当に、自己組織化し自己複製する能力を備えた構造を作り出したとしよう。その場合、「ナノ分子的生命」と細胞という2種類の生命の起源のうち、前者には創造主がいたということになる。言うなれば、知的な設計者だ。ならば後者についても、同じように知的に設計された可能性はあると考えるのは当然か??
「自己組織化する分子」の作成に成功:「生命」との関連は
2007年11月 8日
Brandon Keim 2007年11月08日
銅表面上にある、分子コンポーネントの構造。分子の「自己選択」によって2つのサイズに整理されている。分子の列の間の距離は約1ナノメーター(このキャプションは、プレスリリースより) Photo Credit:Forschungszentrum Karlsruhe und Max-Planck-Institut fur Festkorperforschung Stuttgart
ナノテクノロジーの研究室で「進化」を作り出す研究者たちは、いつか本物の生命を誕生させることができるだろうか?
この疑問が頭に浮かんだのは、ドイツのナノテク研究者らが、組織化された行動をとるようプログラムされた分子を設計したという情報を目にしたときだった。不規則に配置されると、これらの分子は自ら、ある配列に並びなおしたという。
問題の論文は、『米国科学アカデミー紀要』(PNAS)で発表予定だが、まだPNASのウェブサイトには掲載されていない。論文発表に伴うプレスリリースには、詳細に書かれている部分と、がっかりするほど説明の乏しい部分とが混在している。
そもそも、一体それがどんな分子であるかも書かれていない。マックス・プランク研究所とカールスルーエ工科大学(KIT)の研究チームによる「設計」――まさに「知的な設計(インテリジェント・デザイン)」だ――がどんなものであるかについては、分子に対して大きさ順に並ぶよう命令を与えたということしかわからない[「インテリジェント・デザイン」とは、生命や宇宙の精妙なシステムが、知性ある設計者によって設計されたとする説]。
そして、[熱を加えることにより]配列をばらばらにしたところ、不規則に並んでいた分子が、写真にあるような、中央アジア製の絨毯の結び糸細工模様のような格子状に並んだというわけだ(そう、私はこの「配列」について、細胞の構造と絨毯の構造、それらのどちらにも似ていると書いている。そのどちらにもある程度似ている、としか言いようがないと思う)。
研究チームはこのプロセスについて、無生物の分子を組織化し、生物の複雑な構造を再現することに近いものと考えている。――タンパク質や細胞、組織、そして究極的には動植物といった生物的な構造だ[プレスリリースによると、研究チームは、分子は「能動的な選択」行動をとったと述べ、このような「自己選択」は無生物から生物への進化に洞察を与えるものだとしている]。
この可能性について考えたとき、科学というよりは哲学の分野に入り込むような一連の疑問が頭に浮かぶ。
このようにして作成された構造の持つ可能性は、それをプログラムした研究者たちの期待をどの程度反映しているのだろうか?分子に生命を持たせるには、どのような命令セットを使えばいいのだろうか?このような「プログラミング」は、三次元以外の次元で存在しないといけないものだろうか?
また、研究者らが本当に、自己組織化し自己複製する能力を備えた構造を作り出したとしよう。その場合、「ナノ分子的生命」と細胞という2種類の生命の起源のうち、前者には創造主がいたということになる。言うなれば、知的な設計者だ。ならば後者についても、同じように知的に設計された可能性はあると考えるのは当然のことだろうか?
プレスリリース「ナノ世界における進化」を参考にした。
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