2007/11/02

水界民?川筋者ジャネ?病原体のメディエーター=ループとサーキットの二層構造というのは、エマニュエル・ル・ロワ・ラデュリが使っている概念で、地理的に長・中距離の伝播と、ある地域の中での短距離の伝播を分けて考えることを可能にする概念である。




ループとサーキットの二層構造というのは、エマニュエル・ル・ロワ・ラデュリが使っている概念で、地理的に長・中距離の伝播と、ある地域の中での短距離の伝播を分けて考えることを可能にする概念である。

日本民族の起源や、西トルキスタンにかつて存在した巨大湖(笑)や、文明の生態史観と直接かかわることはもちろん考えていない。「水界民」という民族的な概念そのものを使おうとも思っていない。しかし、これは面白い使い方ができる概念である。筆者が水界民の貢献を強調するのに対して、私が考えているのは、水界民が持っていた水系感染症へのヴァルネラビリティである。外国から輸入されたコレラは、漁民、水上交通に従事するもの、そして船から荷物を陸揚げする労働者など、ウオーターフロントのループを伝わって地理的に拡散し、そこから陸上のサーキットに入って街や村の井戸や洗い場などを通じて伝播したことはほぼ間違いない。
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